40代で早期退職した市役所の「元・中の人」がお届けします

40代で早期退職した市役所の「元・中の人」がお届けします

辞めてわかった!17年間勤めた地方公務員のリアルとその後

こんなトンデモ苦情ばっかり!

どうも、元・中の人です。
今回は、仕事編の中でも結構パンチの効いた苦情対応をテーマにお送りします。

市役所=クレーマー天国?

先日、とある自治体で「セミの鳴き声がうるさいので何とかしろ」という苦情を受けて対応に困っているといったニュースがありましたね。「夏なんだから当たり前だろ!」と良識ある皆さんはお思いでしょうが、そういった理不尽ともとれるクレームにも対応しなければならないのが、市町村役場の職員なんですね。
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一般的に、民間企業であれば民法上の契約自由の原則を法的根拠に、「ご不満であれば利用いただかなくて結構です」と店側にも客を選ぶ権利が認められていますが、公共サービスのようなものにはこの原則はあてはまりません。(まあ、民間でもめったにそんな強い対応はしないでしょうけどね・・・)

トンデモ「困ったちゃん」事例

私の勤めたところで実際にあった、数々の「困ったちゃん」をいくつか紹介しましょう。
 ①「今度車を買う予定なんだけど、どの車がいいと思う?」
 ②「自衛隊のヘリ、空から俺の自宅を勝手に撮っている。うるさいから今すぐやめさせろ。」
 ③「マンションのテレビが映らなくなった。今すぐ何とかしろ」
 ④「息子の婚約相手の実家に挨拶行くときには、何を土産に持たせたらいい?」
 ⑤「公民館のサークルで仲間はずれにあったので、何とかしてくれ」
どれもこれもトンチンカンな相談や苦情だったりするのですが、これらに対してすべて門前払いなどはできません。
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のど元まで出かかっている「うちは市役所なので・・・」という言葉は飲み込んで、まずは長々と続く話をきくことに徹するのです。そのうえで例えば以下のように応対して、切り上げる方向にもっていくしかないのです。

①「そうですか、足の悪いご高齢の方がいらっしゃるのでしたら、乗り降りしやすい車がいいかもしれませんね。大きい車は税金が高いとご心配してましたが、●●ccまでの自動車であれば毎年の税金はだいたい○○円くらいですかね。一度、ご家族皆さんでご相談なさったうえで、車屋さんに行かれてはいかがですかね~」→その後、徐々に「ディーラーに相談してね」的な雰囲気を出しつつ、フェードアウト。

②「そうでしたか、ご自宅の上空では確かにうるさいですよね。ご自宅を撮影しているかどうかまでは、市役所ではわからないのですが、まずは、そのようなご意見がありましたことを自衛隊に伝えます。そのうえでご希望でしたら自衛隊よりお客様に返答の連絡を入れるように伝えますが、いかがしましょうか?」→その後、地元を管轄する自衛隊の広報部にその旨のクレームがあったことを連絡。

③「テレビの裏側のアンテナ線などはしっかり接続されていますか。そうですか、ではマンションの共同アンテナの調子が悪いのかもしれませんね。ではお住まいのマンションの管理会社はわかりますか?」→その後、徐々に「マンションの管理人室に連絡を入れ、管理会社に対応してもらってね」的な雰囲気を出しつつ、フェードアウト。

④「そうですか、初めてのご挨拶で緊張されますよね。市役所では何を持っていきなさいという決まりもないので、なかなかアドバイスしづらいのですが、個人的には、やはりあげて喜ばれるものが良いと思いますよ。例えば先方の親御さんのお好きな物とかは、息子さんから伺っておりませんか?」→「自分で考えようね」的な雰囲気を徐々に出しつつフェードアウト。

⑤「仲間はずれですか、それはいやな思いをしてしまいましたね。心中お察しします。ただ、公民館のサークルといってもみなさん自主的な活動を行っている団体さんですから、団体内の人間関係にまで市役所が介入することって、なかなかできないんですね。まずは、サークル内の役員さんや代表の方に相談してみるというのはいかがですか?」→「いい大人なんだから、泣きつく先を考えてね」的な雰囲気を徐々に出しつつフェードアウト。と、まあ、こんな感じです。

相談や苦情を受けていて、「ほんとにここは市役所なんだろうか?便利屋か?よろずや相談所か?」と錯覚を覚えるようなものも少なくなかったですね。規模の小さな自治体になればなるほど、「困ったときは役場に」といった便利屋感覚は強いと思います。もちろんそれはそれで、全て悪いとは思いませんが。そういったきめ細かい住民サービスというのも、自治体の規模や人員規模などによってはアリなんでしょうけどね。

市役所というだけで槍玉に!

先日も「消防車を店の前に停めて昼食を食べていたらクレームが入った」なんてニュースもありましたね。でも、似たようなケースはどこの市町村にもあるんです。
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私の勤めていたところでは、市役所の名前が入った公用車でコンビニに立ち寄っただけでクレームされたなんてことは、しょっちゅうでしたね。もしかしたら、コンビニのオーナーの納税相談に来ているのかもしれないし、接道している道路との境界確認かもしれません。もしくは体調不良で緊急避難的にトイレを借用する時もあるかもしれません。でもね、市役所というだけで「さぼっている!」「けしからん!」とクレームになるんですね。また、複数の職員が昼の休憩時間中に、食後の運動をかねて市役所の近所を散歩(ウォーキング)していただけで、「目障りだからウロウロするな」と近隣住民からクレームが入ったこともあります。なんとまあ世知辛い世の中、思い返しても実に肩身が狭い職業だったですね。

結局は市民感情を意識して泣き寝入りが多い

でもね、まだこの程度なら序の口なんですよ。中には、税金の滞納徴収に行ったら、なぜか徴収先のお宅の庭でゴミ捨て用の穴掘りをさせられたり、土地の境界立会に行ったら、なぜか宅内側溝の清掃をさせられたなんて意味不明な強制労働の例もありましたね。
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順番待ちしていた特別養護老人ホームに入所できなかった腹いせに、親族が刃物をもって窓口に来たなんてこともありましたねぇ(まあ、気持ちはわからなくもないですけど)。窓口で怒鳴る、突き飛ばす、机や椅子などを壊すといった違法行為すれすれ(ほぼアウトだろーなぁ)の暴力や威圧も、どこかしらの部署では来てましたねぇ。

ただ、とにかく「いろんな意味で最前線」ですから、いくらその内容が法律上アウトであっても、市民感情を意識して法的な対抗手段に出ることはめったにないのが実情で、声の大きな人には総じて弱い→ますます声の大きな人がつけあがる、という負のスパイラルに陥ってた感はありましたね。